デザイン・リニューアル、意識の持ち方が大切
近所に地元資本の食品スーパー(○○フード)がありました。20年前のことです。当時その1店しかなかったので、そこそこ繁盛していました。
人口の増加により、10年ほど前、近辺に首都圏で展開しているスーパー(○○○マート)が出店しました。売り場面積は4倍ほどあります。
私の目から見て、新規の店は決して品揃えも良くなく(特に生鮮3品のうち魚介類がまるで駄目です)、旧来からある店にとっては、それほど脅威にならないのではないかと感じていました。
しかし、前からあったスーパーが妙なことをやるようになりました。どういうつもりか、チラシのデザインを毎週のように変え始めたのです。
新規開店の店は最初に急激に売り上げがあり(開店セールのため)、通常のプロパー商品に移るとしばらく低迷します。その後緩やかに上昇して、ある時点で安定します。
初めにあった店が、新規開店によって流れた客(落ちた売り上げ)を取り戻そうとした時、品揃えでも値付けでも引けを取らないはずなのに、売り上げが落ちるのは、チラシに誘引力がないためだ、とでも思ったのでしょう。
あるいは、仕入れ担当者などが責任を転嫁するため、チラシのせいにしたのかもしれません。
意識的とは限りません。自分の店の欠点は見えにくいものですから、外部の印刷会社などに責任を押し付けやすい心理が働きます。
毎回毎回、目先を変えなくてはならないので、印刷会社もデザイナーも次第にネタが尽きてしまいます。その結果統一がとれなくなり、デザインのクォリティーはどんどん落ちていきました。
結局、いままでせっかく培ってきた店独自のカラーが失われました。目に見えるものだけに、一貫性のなさは店の周章狼狽ぶりを客にさらす結果になったのです。
まもなく、その店舗は食品の安売り店に売却されました。(潰れたのにはその他の要因があり、最も大きいのは、売り場面積が中途半端なのと後背地の人口ではないかと推測されます。路面店にとって大事なのは交通量ではありません)
デザインにはいろいろな役割があります。特に訴求力を要求されるチラシでも、何の定見もなくビジュアルインパクトのみを求めて、いじりすぎることの恐ろしさを分かっていない悲劇です。
実際そこの本部の担当者が、うちは4Cカラーのチラシでないから駄目なんだと、言っていたということを聞きました。色数が増えれば客数も増えるわけないじゃないですか。客観的なアドバイスをする人もあったと思いますが、聞く耳持たなかったのですね。
見た目を変えれば客が集まる? お客様はそんなに単純じゃありません。
ホームページのリニューアルも同じことがいえます。見た目を変えたり、化粧直しをすれば反応が向上するなどということはありません。
チラシとは違って、ウェブマーケティングにおいて、ビジュアルは訴求力にあまり影響しないばかりでなく、SEO的に不利になることさえあります。
ここから先は余談です。
やや離れた所にダイエーがありましたが。本当に品揃えが悪かったし、店員に覇気が感じられません。パートのレジ係の人が「この店で買う気がしない」と言ってたほどです。店長クラスより、パートのおばさんの方が、よほど正確に現状を認識していました。
退店する際の持ち物検査ばかり、やたらと厳重にしたりとか、メチャクチャなことをやっていたそうです。パート全員万引き常習者扱いですよ。店員のモチベーション下がるわけです。
だいたい創業者が、兄を騙したり小ずるく立ち回って、第2次大戦後の闇市発祥の店を大きくしたという経緯がありますから、疑心暗鬼が染み付いた体質だったのでしょうね。
三菱グループもそうです。坂本龍馬亡き後、海援隊と土佐藩の船を手に入れて(三菱商会の設立資金は土佐藩と海援隊の金を横領したものだという説まであります)、徳川幕府に比べて海運力のなかった、薩長明治政府に取り入ったのが始まりです。富国強兵の政策を利用して、軍需産業で肥大したのです。これも明治維新のゴタゴタに乗じたわけです。
世の中から詐欺商法がなくならないように、阿漕なやり方でも商売は発展できます。むしろ、自分が違法すれすれなことを自覚していますから、ますます巧妙なやり口になります。
なまじ最初にうまくいってしまうと、成功体験から離れられなくなります。別の方法に目がいきません。例えは悪いのですが、犯罪者の場合、必ず同じやり方を繰り返す《手口》となります。
他を顧みない利己的な、金儲け第一主義の卑しさは、遺伝子となって現れます。
創業者の心掛けが、後々まで影響を持ち、企業風土となるのです。
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