部数限定の改訂増補版は、好評のうちに完売しました。増刷を検討したのですが、各専門学校、大学の美術系学科で教材として使われることが多い現状を考慮し、判型を大型化した新装版として刊行することになりました。
実践アニメーション初版刊行後、Flash解説本等の手軽なデジタルアニメの入門書はいくつも出てきました。
しかし十数年が過ぎても、本書のような本格的アニメ技法書は、他に現れなかったのです。
最初、アニメーションソフトとして作られたFlashは、マクロメディアがアドビに吸収された後、アクションスクリプトに変質していきました。
ところが、モバイル機器の急速な普及など時代の趨勢により、Flashがweb標準でなくなりました。いまだHTML5/CSS3は過渡期で、完全に置き換わるのは先のことでしょうが。
時代の先端をいくかに見えた、ソフトに頼る動画作り。じつは時代に翻弄されていただけでした。
動かす前に画力が必須です。まともな造形ができなければ、創造的な動きもできません。いつの世でも、道具が物を造り出すことはないのです。たとえばディープラーニングが創作する時代が来るでしょうか。(ハリウッドのCGはまったく別の経緯で発達したものですから、比較の対象にはなりません)
また現場で作業していても、プロ意識が薄く、技術を磨かない者がいます。そのためでしょうか、プロの世界でも、作画の技術力のある人が少なくなったとの声もあります。
まして創造性のあるアニメーションは、造形力に加えて演技力・演出力も要求されます。
アニメーション作画技術を身につけ、自分のものにすることは、いつの時代でも廃れない基本中の基本。初心に還ることが大切ではないでしょうか。
※「新・実践アニメーション 新装板」は、一般販売していません。